村上晶俊の教育論

教育について思うところを書きます。不定期更新

数学における証明の重要性の話

証明を理解しよう

今回は、数学における証明の重要性の話をしようと思います。前回は、数学が苦手ならせめて暗記しようという話をしましたが、今回は少しレベルアップを図る話になります。

 

aki-murakami.hatenablog.com

 

前回の記事でも書いた通り、公式や定理は基本的に暗記すべきものですが、初めて公式を見たときに、なぜその式が成り立つのかを理解せずにいきなり暗記しようとすることは望ましくありません。

公式を自力で導けというわけではなく、教科書などに書いてある証明を読んで理解しようということです。一部に、より高度な内容を学習しないと正確な証明ができない、ごまかしのあるものもありますが、多くはきちんと証明されているはずです。

 

前回も例に出した、2次方程式の解の公式であれば、高校受験レベルでは平方完成を使う機会はほとんどないので、自力ですらすらと証明できる必要はあまりないかもしれません。ただ、どうしてその公式が成り立っているのかを一度理解しておくことは、数学的な思考力を鍛えることになりますし、高校以降の学習にもつながります。もちろん、証明問題を解くときにも役立ちます。たいていの証明問題は、公式や定理の証明よりも易しいです。日頃から丁寧に証明するようにしていれば、証明問題が苦手ということはなくなるでしょう。

 

また、定義に立ち返ってみることも重要です。定義をしっかりと理解していなければ、証明も正しく理解できません。大学受験を見据えた高校生であれば、なおさらです。共通テストの導入により、定義や基本的な公式・定理の証明を理解していないと解けない問題も増えていくかもしれません。

 

公式や定理は、いきなり無理に覚えようとしなくても良いでしょう。はじめは定義に従って丁寧に操作を進めてみることも必要です。教科書などを見ながら実際に公式や定理を活用していくうちに、ある程度は自然と覚えてしまうでしょう。そうであれば、試験の前などに、記憶に抜け漏れがないかどうか確認してみることでも十分でしょう。

 

公式や定理は、複雑な過程をショートカットできる便利なものですが、本当にそれが数学的に正しいのかということは、自分できちんと納得して使用してほしいと思います。自分の中で納得できていれば、記憶にも残りやすくなりますし、万が一忘れてしまっても思い出しやすくなります。関連する公式や定理にもつながりやすくなります。

はじめは難しいかもしれませんが、少しずつ理解できるように頑張っていきましょう。

 

今回はここまでとしたいと思います。お付き合いいただきありがとうございました。 

春休みや連休中の学習の話

過去の苦手を潰そう

今回は、春休みや連休中の学習の話をします。家庭での自習の参考にしていただければ幸いです。

 

学校の授業に合わせて勉強をしていると、春休みからこの連休くらいまでの期間は、あまり勉強するものがなくて困るかもしれません。新学期になって授業が始まっても、身体測定などがあったりしますし、授業でもひたすら自己紹介が続いたりで、あまり学校の授業が進まないことが多いです。

 

以前の記事でも書いたように、やることがないからといって予習をしてみるのはおすすめしません。学校の授業が進まないからこそ、しっかりと復習をして、もし苦手な単元があるならば、克服するようにしましょう。

 

aki-murakami.hatenablog.com

 

すでに自覚している苦手単元があるならば、その単元に集中して取り組めばよいでしょう。(本来は苦手だと自覚したらその時点で克服に向けて取り組みたいところですが。)

もし何をやってよいかわからないのであれば、前の学年で学習した内容を順番に取り組んでみると良いでしょう。ウェブで検索すれば、単元ごとにコンパクトにまとまったプリントなどを無料で掲載しているサイトもあります。教科書の章末問題なども良いです。

あるいは、春休みからGWにかけて取り組むのであれば、それなりの時間を確保できるはずなので、学年ごとにまとめられた問題集を購入しても良いかもしれません。あまり量の多いものではなく、短期間で一通り終わらせられそうな薄めのものが良いでしょう。

 

苦手な単元を発見したら、とにかくその単元に集中して取り組みます。できるようになるまで何日でも時間をかけて取り組みましょう。せっかく学校の授業が進まずに時間に余裕があるのですから、この機会に苦手を克服しましょう。

また、漢字や英単語などの暗記系の復習もおすすめです。漢字なら、前の学年ではなく、前の学校で学習したものまで戻っても良いです。できるつもりでも意外と忘れてしまっています。

 

復習はいつでも大事ですが、春休みからGWにかけての期間はいつもより広い範囲で復習に取り組み、積み残した苦手を克服していきましょう。

 

今回はここまでとしたいと思います。お付き合いいただきありがとうございました。 

数学は暗記科目かという話

苦手ならせめて覚えよう

今回は、数学は暗記科目かという話をしようと思います。また、数学が苦手な生徒向けの勉強の指針的な話もします。またまたありきたりなテーマですが、お付き合いください。

 

数学は暗記科目かという問いには、数学が得意な人たちはNoと答えます。公式や定理はその場で導けば良いというわけです。といっても、公式や定理をその場で導く能力があるとしても、よほど時間に余裕があるのでなければ、時間短縮のために試験の際にはきちんと暗記していくべきだと思います。

 

数学が得意でない生徒は、公式や定理の証明はほとんどできないことが多いでしょう。高校受験直前の中学3年生でも、2次方程式の解の公式を証明できない生徒は多いと思います。そして、必ずしも全員が証明できる必要もないでしょう。もちろん、証明できることが理想ではありますが。

 

証明できないならば、試験の際にその場で導くことは当然不可能なので、事前にしっかりと暗記していくしかありません。(なお、公式の導出はできるが数学の点数が伸びないという場合は、計算速度に課題があることが多いので、この場合も時間短縮のために公式は暗記すべきです。)そして、公式や定理を完璧にするだけで解ける問題もそれなりにあります。まずはそうした問題を落とさないことからはじめていきましょう。場合によっては、それだけで平均点くらいは取れてしまうでしょう。

 

公式や定理を暗記するといっても、式の形を覚えるだけでは不十分です。きちんとその式に正しく当てはめることができないといけません。例えば、三角形の面積を求める公式「底辺×高さ÷2」を覚えても、問題の図形のどれが底辺でどれが高さなのかがわからなければ意味がありません。また、中学生以降は文字(アルファベット)で公式が表されますが、公式の中のそれぞれの文字が何を表すかもしっかりと理解しておく必要があります。

 

公式や定理を完璧にしたら、次の段階は解き方を覚えることです。公式や定理ではないが、頻出のパターンというものはあります。受験対策であれば、過去問研究が有効です。同じ偏差地帯でも他の学校では出ないような特徴的な問題を出してくる学校もあるので、数学が苦手な生徒ほどしっかり過去問で対策しておきましょう。

 

数学は暗記科目かというと、必ずしもそうではありませんが、暗記で対応できることもあります。数学が苦手であるならば、少なくとも暗記で取れる点はしっかり取っていくようにしましょう。

 

今回はここまでとしたいと思います。お付き合いいただきありがとうございました。 

学習習慣・学習管理の話

管理方法の工夫

今回は、学習習慣・学習管理について書いていこうと思います。 具体的な手法もご紹介します。

 

学習習慣が大事だとはいいますが、成績が良い生徒全員が毎日勉強しているわけではないでしょう。本来は、必要なときに必要なだけ勉強できれば良いはずです。そして、成績が良い生徒ほど、普段は全く勉強していなくても、試験前などにはきちんと自発的に必要なだけ勉強することができてしまうものです。しかし多くの生徒は、なかなかそうはいかないので、ある種機械的に毎日勉強する習慣をつけましょうということになるわけです。 

 

毎日勉強するとして、その管理方法としては大きく分けて2種類あるのではないでしょうか。 

 

一つ目は、勉強時間を指定するという方法です。学校や塾でも、毎日何時間勉強しましょうなどと、勉強時間を指定されることがあります。時間によって学習を管理することの利点は、予測がつきやすいということです。場合によっては、「19時から20時までは勉強しよう」などと時間帯すらも決めてしまうことができます。毎日決まった時間帯に勉強することも、学習習慣をつけるのに有効だとされています。しかし時間のみを指定すると、学習の質が低下するおそれもあります。あまり集中せずにだらだらと勉強し、ただその時間机に向かっているだけという状態になりかねないからです。 

 

もう一つの管理方法は、教材のページ数やプリントなど、取り組むべき課題を具体的に指定することです。必ずしも毎日取り組むことが求められるわけではないですが、学校や塾などで課される宿題もこの方法といえるでしょう。この方法の利点は、時間にかかわらず指定された課題を終わらせればよいので、「早く終わらせたい」という集中して取り組むインセンティブがあることです。ただし、早く終わらせることだけに囚われて、課題を雑に消化してしまうということもあり得ます。 

 

時間によって管理する方法も、課題を具体的に指定する方法も、一長一短あるということです。そこで私が推奨したいのは、これらを組み合わせることです。勉強時間と課題の両方を設定し、どちらもクリアするまで終われないとするということです。例えば、「1時間」と「ワーク4ページ」という目標を設定したならば、ワーク4ページが終わっていなければ、1時間以上かかってもワーク4ページ終わらせるまでは続けなければならず、逆に早くワーク4ページが終わっても、1時間経過するまでは何らかの勉強を続ける必要があるということです。 

これにより、ある程度2つの管理方法のデメリットを軽減することができるのではないかと思います。できる限り勉強時間を減らしたい生徒にとっても、具体的に指定された課題を終わらせる必要があるので、だらだら取り組んでは勉強時間が増えてしまいますし、時間の指定もあるので、早く終わらせすぎても意味がありません。 

 

冒頭で述べたように、本来は必要なときに必要なだけ勉強すればよいのです。時間と課題を両方指定するというやり方は、指定するものが増えているので、理想からは遠ざかっているというべきでしょう。すでにどちらかの管理方法のみで上手くいっている場合は、逆効果になってしまうことも考えられます。無理に追加で指定する必要はなく、今のやり方をそのまま継続すればよいでしょう。

テコ入れが必要と感じている生徒さんには、ぜひ今回紹介した方法を試してみていただきたいと思います。 

 

今回はここまでとしたいと思います。お付き合いいただきありがとうございました。 

予習の話

復習を完璧に

今回は、予習の話をしようと思います。主に中学受験をしない小学生や中学生の学校の授業を想定していますが、塾や高校の授業でも当てはまる部分はあると思います。

 

予習・復習が大事だというのはよくいわれるところです。しかし、個人的には、小中学生には、予習はそこまで重要でない、または、非効率であると思っています。 

 

小中学校の先生も予習復習をしっかりしなさいとは言いますが、実際には生徒が予習をしてくることは全く期待していません。授業は、生徒が全く予習をしていないことを前提に進められます。ということは、予習をして事前にある程度理解して授業に臨んでも、もう理解したことの説明をまた聞くことになるだけであるということです。そうであるならば、予習はせずに授業に臨み、授業で理解しきれなかったところを重点的に復習する方が効率がよいということになるでしょう。 


そもそも、多くの小中学生は、復習が十分にできていません。予習をする前に、まずはすでに習った内容を完璧にするべきでしょう。そのうえで予習をすべきです。ただし、それでもすでに述べた予習の非効率性は変わらないので、その内容は工夫すべきかもしれません。個人的には、漢字や英単語・熟語に取り組むのが良いと考えています。これらはどちらにせよいずれ暗記すべきもので、反復して取り組む必要があり、予習も比較的簡単だからです。 

 

ただし、中学3年生で受験が近づくと話が変わります。志望校のレベルにもよりますが、ある程度予習をして早めに入試の試験範囲を終わらせたい場合もあるからです。公立中学校の授業の進度では、試験範囲の学習を終えるのが入試直前ということもよくあります。そこから過去問を解き始めたのでは十分に時間を確保できないということもあり得ます。 

といっても、教科書の順番通りに予習をするのではなく、最後の単元から予習した方が良いかもしれません。順番通りに予習をしたのでは、結局そこから最後まで予習をしなければ時間的なアドバンテージは得られず、予習の負担が大きくなってしまいます。最後の単元の分だけ早く過去問に着手できるだけでも、それなりに時間は確保できます。単元によっては順番に学習しないと理解が難しい場合もありますが、例えば英語なら関係代名詞を知らなくても仮定法は理解できるように、途中の単元を飛ばして予習することができる場合もあります。 

 

基本的には、復習をしっかりしなさいということに尽きると思います。予習をしなければならないとしても、復習がおろそかになってはいけないので、バランスが難しいところです。 

 

今回はここまでとしたいと思います。お付き合いいただきありがとうございました。 

語彙力向上方法の話

語彙力を鍛えよう

今回は、語彙力を向上させる方法について書こうと思います。国語だけでなく、英語にも共通する話です。これまで書いてきた話のほとんどに関係することでもあります。

 

音読についての記事でも語彙力に関係しそうな話をしました。これは、知らない単語の発見の手段として音読をしましょうという話でした。講師や保護者が音読を聞き、意味を理解していなそうな単語を確認していくということも推奨しています。

ただし、やはり生徒の学年が上がってくると、音読を聞く機会もあまりなくなってくるでしょう。そこで今回は、生徒自身でできる方法を書いていきたいと思います。

 

aki-murakami.hatenablog.com

 

語彙力向上のために重要なのは、知らない単語をそのままにしないということです。わからない問題をわからないままにしないというのは、よく言われることですが、語彙力に関しても同じです。今はスマホを持っている生徒が多いと思いますので、知らない単語が出てきたらスマホで必ず調べましょう。もし漢字が読めなくとも、手書き入力できると思います。もちろん、英単語でも必ず調べるようにしましょう。

 

個人的には、調べた単語を必ずしもメモする必要はないと思っています。その代わり、意味がわからない単語が出てきたら、何度でも必ず調べるようにします。きちんとすべて調べていれば、よく出会う単語であればそのうち覚えます。あまり出てこない単語であれば、そこまで頑張って覚えなくともよいと考えてしまいましょう。

もちろん、メモをしていればそれを見直すことによっても学習できるので、余裕があればメモをすると良いでしょう。また、「このページの知らなかった単語を全部調べてメモする」というような形で宿題にしても良いと思います。その場合は、対象ページのメモされていない単語の意味をいくつか質問し、宿題チェックとするとよいでしょう。

 

なお、調べるときはできるだけ辞書(辞書サイト・アプリなど)を使うようにしましょう。翻訳アプリなどでは、必ずしも文脈的に正しい意味を教えてくれるとは限りません。特に英単語では、単純な意味だけでなく文法的な知識も同時に知ることができ、効率的です。

辞書を見る場合にも、必ずしも辞書の一番上に掲載されている意味で使用されているとは限らないので、可能な限りその単語の項のすべてに目を通すようにしましょう。しっくりくる意味が見つからないときは、熟語の存在を疑いましょう。前後の単語と合わせて調べてみると、よりふさわしいものが見つかるかもしれません。

 

特に国語では、語彙力を向上させるための教材などもありますが、個人的にはそれのみに頼ることはあまりよくないのではないかと思っています。もし読書もあまりできていない状況であれば、まずは読書から取り組んでも良いと思います。受験学年で時間的な余裕がないのであれば仕方ないかもしれませんが…

 

aki-murakami.hatenablog.com

 

わからないことはとにかく調べるというのは学習の基本です。少しずつ地道に頑張っていきましょう。

 

今回はここまでとしたいと思います。お付き合いいただきありがとうございました。 

 

学習とマンガ・ゲームの話

いろんなものに触れよう

今回は学習の観点からマンガやゲームについて書いていこうと思います。このブログでは、以前の読書についての記事で、漫画は効果的でないと書いてしまいましたが、それは国語力向上の観点からの話です。今回はより広く学習一般の観点から、マンガとゲームについて書いていきます。

aki-murakami.hatenablog.com

 

生徒の多くは、マンガやゲームを好んでいると思います。私自身もそうです。勉強する必要があるからと言って、マンガやゲームなどの息抜きを一切しないということは難しいでしょうし、効率も落ちるでしょう。とはいえ、息抜きにマンガやゲームをするにしても、せっかくなら学習にも役立つものだとうれしいですよね。

 

わかりやすいところでは、史実をもとにしたものでしょうか。歴史の勉強に役立ちます。例えば、「信長の野望」というゲームであれば、戦国武将や旧国名を知ることができます。地図上にそれらが表示されるので位置関係も把握でき、歴史をイメージしやすくなります。

 

科学を題材としたものなど、他にもわかりやすく学習に役立ちそうなものはありますが、直接的に学習に結びつかないものでも、学習に役立つことはよくあります。例えば、多くのマンガやゲームでは、英語をもとにした技名が登場します。それを読んでいる/遊んでいるときにはわからなくても、元となった英単語を習ったときに、「あのマンガにでてきたやつだ」と気づけば、その単語を覚えやすくなります。あるいは、保護者から積極的にその由来について話しても良いでしょう。

余談ですが、少し前は、中学生で平方根を学習する際の2乗の計算のところでよくゲームシステム上2乗になりやすいパズドラの話をしていたのですが、最近はあまり生徒に伝わらないことが多いです。

 

また、マンガやストーリーのあるゲームなら、物語の経験値にもなります。入試でも必ず小説が出題されます。典型的な物語の流れ、起承転結がわかっていれば、小説も読解しやすいでしょう。

 

多くのコンテンツに触れることは、それだけで価値のあることだろうと思います。どこで何が役に立つかはわかりませんが、いろいろなものに触れてほしいと思います。

 

今回はここまでとしたいと思います。お付き合いいただきありがとうございました。