村上晶俊の教育論

教育について思うところを書きます。不定期更新。記事に広告を含むことがあります。

音読の重要性の話

音読を聞いてあげましょう

今回は音読の重要性の話を書こうと思います。またいろいろなところで言及されまくっている話になってしまいますが、お付き合いください。

 

音読は、英語の勉強の際にもよく推奨されます。単語を覚えるときに音読するとか、長文を音読するとか、リスニング対策として音読するとか、いろいろあると思います。もちろん、これらは重要ですが、今回は国語や社会科など、日本語での音読も含めた話をしようと思います。

 

私が音読を重要視するようになったのは、家庭教師として中学生に歴史を教えていた時のことです。そのとき担当していた生徒は、幸いなことに歴史(社会)以外の科目は順調に成績が向上していたものの、歴史だけは伸び悩んでいました。

授業では理系科目を中心に教えていたので、授業時間中にはあまり歴史を扱わず、宿題として歴史のワークやプリントなどを課していました。その生徒もそれなりに真面目だったので、宿題で課した分はきちんとこなしてくるし、暗記する努力もしているようでした。

 

それでもなかなか成績が伸びないので、授業内でも歴史を扱うことにしたのですが、そこで気づいたのは、その生徒は、漢字を正しく読めていないということでした。といっても、学校の国語の時間に実施される漢字テストではそれなりの点数を取ってきます。正しく読めないのは、歴史で初めて出会った漢字や、特殊な読み方をする漢字です。書けるけど読めないという漢字も多くありました。

つまり、ワークやプリントで空欄になっている部分は頑張って書けるように覚えようとしているが、読み方には無頓着であったということです。もちろん、空欄でない部分の漢字も読めないものがあり、言葉の意味も理解していないものもありました。読めないということは、意味も理解できていないということになりやすいだろうと思います。

 

こうなってくると、その生徒は、文脈などはほとんど理解せずに空欄部分だけをとにかく覚えようとしていたということになります。それでは、効率も悪いでしょうし、前後の文章が少し変わっただけでも答えがわからなくなるということもあるでしょう。

このことに気が付いてからは、授業の際に音読をさせるようにしました。音読させることにより、読み方を理解していないものをもれなく発見することができます。同時に、講師としても、一緒にゆっくり文章を追っていくことになるので、読めていても意味が理解できていないおそれがある言葉も確認することができます。

音読で読み方と意味をしっかりと理解してもらうようにしたことが功を奏したのか、そのころから歴史の成績も向上しました。読み方よりは意味をしっかり把握したことが大きかったかもしれませんが、やはり読めなければ意味もわからないことが多いと思いますので、意味を理解していない言葉を発見する手段としても、音読は有効であろうと思います。

 

今回の話は、生徒の音読を講師が聞くことによって課題を発見するというものでした。特に小学生などであれば、講師や保護者が音読を聞くことは有効だろうと思います。比較的学年が上の生徒であれば、自ら読めない言葉を発見する手段として音読を活用することもできると思います。文章中に読めない言葉がないか、もれなく確かめることができるということも音読の利点です。

 

今回はここまでとしたいと思います。お付き合いいただきありがとうございました。